やねよりたかいこいのぼり~♪
私の子供時代でも、「やねよりたかい」鯉のぼりを見るのは希でしたから、住宅事情が違う現在では、大がかりな鯉のぼりを見る機会は更に減っています。
とはいえ、親の子を想う気持ちは、大きさだけで決まる訳ではありません。
そこで鯉のぼりにどんな意味や謂われがあるのか、調べてみました。
鯉のぼりの一番上の色鮮やかなやつは何?
答えを先に言ってしまいますが、あれは「吹き流し」というものです。
そもそも鯉のぼりの発祥は、商人の武士に対する対抗意識から来ています。
武士は端午の節句に菖蒲を用いて厄を払い、表にのぼりをたてるのですが、それをより派手にしたものの様です(中国の五行説に基づいていると思われます)。
これは当時、商人として経済の重要な部分を担いながら、社会の階級としては低く見られがちな商人の気持ちが出たと言われています。
その後、更に工夫をこらして鯉の姿を模した真鯉が現れた訳です。
またそれとは別に、古来の日本には、子供が生まれると無病息災を願って竿を立てる風習がありました。
竿は神様の通り道として機能し、竿の先端に目印となる五色の布をつけます。
子供は七つまでは人間ではなく、神の子と言われていました(七五三で人の子となる)。
出産・子育てが今よりずっと過酷だった(場合によっては命がけだった)時代の、子の成長を願う気持ちが根底にあるのは間違いないでしょう。
あれ?吹き流しの上にまだ何かあるよね…
鯉のぼりの竿のてっぺんにあるもの、あれは「回転球」と呼び、神様に対する目印となります。
節句は民間で行われる一種の神事でもあるので、天に一番近い竿の頂点につける訳ですね。
そしてその回転球のすぐ下にあるもの、あれは「矢車」といいます。
カラカラと音をたてて回っていますが、音を出すことにより神様の気を引きます。
また矢車には魔を払う役目もあります。端午の節句は5月5日。元来奇数は縁起が良いとされています(陽の数)。
「5月5日」はその奇数が二つ重なっている…縁起は最高!?と思われるかも知れませんが、奇数が二つ重なると偶数です(陰の数)。
男児の立身出世を願う行事が由来なので、様々な方法で縁起の良いものを呼び込み、縁起の悪いものは払う、そう考えたのでしょう。
鯉のぼりの順番 最初は真鯉だけだった!?
現代では家族全員の分を飾る鯉のぼりですが、よく耳にする「やねよりたかいこいのぼり~♪」の歌にはお母さんが出てきません。
いえそもそも、鯉のぼり発祥の江戸時代には真鯉(黒い鯉)一匹だけで、それもお父さんではなく、子供(男の子)だけだったそうです。
これは当時の染色技術などの都合もあり、世相を反映したものだったのでしょう。
時代が進み、昭和に入ると他の色の鯉のぼりも上げられる様になりました。
典型的な色の順番は、「黒 赤 青」となっており、「お父さん お母さん 子供」といった解釈が一般的です。
ただ、違う解釈もあり、「お父さん 子供 子供」という説もあります。
これは別に「お母さん」をのけ者にしたのではなく、5月5日は子供の成長を願う日であると同時に、お母さんに感謝する日でもあったからです。
その日お母さんは家事・子育てから解放され、一人で遊びに行ってもよく、「5月5日に、お母さん家にはいない」という前提が、鯉のぼりに影響していると言えます。
(一見差別に見えなくもないですが、本当は母親に対する感謝がにじみでていますね!)
時代が変われば社会も考え方も変化します。あえて昔からの習わしに従うのもよし、気持ちや状況に合わせて順番を変えるのもよしです。
大きさにこだわる必要もありません。雄大な鯉のぼりが泳ぐのを見るのは壮観ではありますが、小さくても気持ちがこもっていれば良いものができますよ。
5月5日は鯉のぼりだけでなく、かしわ餅やちらし寿司で楽しみましょう(*’ω’*)